インフルエンザQ&A
- ①インフルエンザとは
- 風邪とはどこが違うの?
- 鳥インフルエンザとも違います。
- 1度かかっても安心しないで!?
- ②インフルエンザの診断
- どんな検査をするの?
- ③インフルエンザの治療
- インフルエンザの治療は?
- 重症化しやすいのはどんな人?
- 異常行動について
- インフルエンザにかかったら
- ④インフルエンザの予防
- ワクチンの効果は?
- 予防に大切なことは?
Influenza
厳しく冷え込み乾燥する季節となりました。寒くなる冬は免疫力が低下するので、体調管理には十分お気を付けください。
今回は、クリスマス・年末年始、成人式や受験シーズンに、毎年猛威をふるう「インフルエンザ」の特集です。受験生やそのご家族にとって特に大切な時期であり、できるだけインフルエンザにかからないようにしたいものです。小さなお子様やご年配の方がインフルエンザにかかると重症化することもあります。
正確な知識を身につけて有効な対策を実践しましょう。
一般的に、風邪は様々なウイルスによって起こりますが、普通の風邪の多くは、のどの痛み、鼻汁、咳等の症状が中心です。発熱もインフルエンザほど高くなく、重症化することはほぼありません。
一方、インフルエンザは、インフルエンザウイルスに感染することによって起こる病気です。38℃以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、全身倦怠感等の全身症状が比較的急速に現れるのが特徴です。併せて普通の風邪と同じように、のどの痛み、鼻汁、咳等の症状も見られます。お子様ではまれに急性脳症を、御高齢の方や免疫力の低下している方では肺炎を伴う等、重症になることがあります。
風邪 | インフル エンザ |
|
---|---|---|
高熱(38℃以上) | △ | ○ |
のど・はな・せき | ○ | ○ |
関節痛・筋肉痛 | △ | ○ |
合併症による重症化 | ✕ | ○ |
(厚労省ホームページより引用・一部改変)
冬に流行する季節性インフルエンザは、鳥などとの濃厚な接触で感染する鳥インフルエンザとは少し型が違います。そのため鳥インフルエンザが季節性インフルエンザのように流行することはありません。
季節性インフルエンザはA、B型の2種類あります。
近年、国内で流行しているインフルエンザウイルスは、A(H1N1)亜型、A(H3N2)亜型(香港型)とB型(山形系統)、B型(ビクトリア系統)の4種類です。
流行シーズンの前半にA型、後半にB型が流行する傾向にありますが、実はAとBが同時に流行していたり、A型亜型の2種類が同時に発生していることもあります。そのため、1回インフルエンザにかかったとしても、同シーズンに何度もかかってしまうということがあり得ます。
細長く柔らかい綿棒を鼻にいれて検査をします。迅速検査キットにより5~15分程度で結果がわかります。一般的に、発病してすぐはインフルエンザのウイルス量が少ないため、陽性となりにくいといわれています。当院では高感度(通常の100倍※)の検査機器を導入しており、発症早期でも正確に診断できる可能性を高くしています。
※http://www.e-radfan.com/product/8869/
より引用
抗インフルエンザ薬の効果は、高熱などの症状回復を1日短縮させること※1、肺炎などの合併症のリスクを減少させることが言われています。ただし、発症後48時間以内でないと十分な効果が期待できませんので注意が必要です。
現在、新薬も含め数種類の抗インフルエンザ薬が承認されています。2009年以降、タミフル®耐性インフルエンザの流行はみられていませんので、それぞれの抗インフルエンザ薬の効果はほぼ同じであり優劣はありません。肺炎を合併している場合には、吸入薬ではなく内服もしくは点滴での治療が必要となります。
※1BMJ. 2003;326(7401):1235
以下の方々は、肺炎や脳症、心筋梗塞などの合併症により重症化しやすいといわれています※1。ワクチン接種による予防をご本人はもちろんですが、周囲の方々もお受けいただくとより効果的です。インフルエンザにかかってしまった場合には、早期に医療機関に受診されることをお勧めします。
※1 Antiviral Agents for the Treatment and
Chemoprophylaxis of Influenza :
ACIP Recommendations and Reports January 21,2011/60(RR01);1-24
インフルエンザにかかった際は、抗インフルエンザウイルス薬の服用の有無や種類にかかわらず、異常行動が報告されています。転落などの重度の異常行動については、就学以降の小児・未成年者の男性で報告が多いこと、発熱から2日間以内に発現することが多いことが知られています。
※https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou01/dl/pamphlet181207_01.pdf
※保護者のみなさまには、少なくとも発熱から2日間は以下の防止対策を講じて下さい。
(1)高層階の住居の場合
(2)一戸建ての場合
まずは十分な休養と水分補給を心がけてください。高熱でぐったりとしてしまう場合には解熱剤(アセトアミノフェン)を上手に利用しましょう。処方された抗インフルエンザ薬はしっかりと服用してください。通常2,3日で熱が下がりそのまま回復しますが、いったん良くなってから再度熱がでたり、高熱が続く場合には肺炎などの合併症にかかっている可能性がありますので、医療機関を受診してください。
感染力がなくなるまでには個人差がありますが、学校保健法では「解熱後2日、かつ、発症から5日」経てば登校可となります。
インフルエンザの潜伏期間は2-5日といわれていますので、1週間程度、周囲の方は発熱などの体調変化にご注意ください。
インフルエンザワクチンを接種すると、40-60%の発症予防効果※1、50-60%の肺炎発症の抑制効果、82%の死亡を阻止する効果があるとされています※2。
ワクチンを打つタイミングとしては、インフルエンザが流行する前の10月下旬~11月が最も効果が期待できます。流行期に入ったとしても、打たないよりは打った方が良いと考えます。
現在日本で承認されているのワクチンは、A型2種(H1N1、H3N2)とB型2種(山形系統、ビクトリア系統)の4価不活化ワクチンです。不活化ワクチンですので、ワクチンを打った後にワクチンが原因でインフルエンザにかかることはありません。
定期接種(国からの助成あり)は65歳以上が対象となりますが、生後6ヶ月以上のすべての人にワクチン接種が推奨されます。特に重症化しやすい人(重症化しやすいのはどんな人?を参照)は積極的なワクチン接種が望まれます。
※1 N Engl J Med 378;1 nejm.org
January 4, 2018
※2 平成11年度 厚生労働科学研究費補助金
新興・再興感染症研究事業「インフルエンザワクチンの効果に関する研究
(主任研究者:神谷齊(国立療養所三重病院))」
インフルエンザを予防する有効な方法をご紹介します。
(厚労省ホームページより引用・一部改変)